安全にクラッシュさせる技術を持っているインディカー

2011年10月21日

事故=死亡事故ではりません。

事故の発生は100%防げないと断言できます。
事故=クラッシュはレースのスペクタクルの一部であることも現実です。

しかし、インディカーでは
いかに安全な事故にするかを追求し続けています。
その結果、今回は時速360キロ中で事故にもかかわらず
巻き込まれた13台中、
12名はマシンから出て来て自力で歩いていました。
これはインディカーが長年追求してきた安全性の成果によるものです。

インディカーでのレース中の死亡事故は1999年CART最終戦の
カリフォルニアスピードウェイ(1周2マイル、コーナーバンク14度)での
グレッグ・ムーアの単独事故によるものでした。

その前は1996年CART第9戦トロント(ストリートコース)での
ジェフ・クロスノフとステファン・ヨハンソンの接触で
クロスノフが中を舞ってコーマーシャル1名を巻き添えにして
街路灯へ激突したものでした。

この11年間、
観客、コースマーシャル、レース中のドライバーの犠牲者は出ていませんでした。
これはインディカーが
「安全にクラッシュさせる技術」を高めてきた成果だと言えるでしょう。

レースで事故を0にはできません。
要はいかに「安全にクラッシュさせるか」なのです。

レース事故での死亡率はきわめて小さくなってきています。
しかし、残念ながら死亡事故0にすることは極めて難しいでしょう。

今回も事故によって3台が宙を舞ってキャッチフェンスに激突しました。
しかし、WパワーとPマンの命は
レースカーによってしっかりと守られたのです。

残念ながらDウェルドンは
身体が直接、キャッチネットの支柱に激突しました。
レースカーはダンを守ることができなかったのです。

この生死の差はぶつかった時のレースカーの姿勢でした。
残念ながらインディカーは
宙に舞った車体がどこにぶつかるかまでは安全基準で決めることができません

仮にコクピットにキャノピー(風防などの多い)があったとしても
キャノピーを押しつぶしていたでしょう。
時速300キロ以上での衝突事故は飛行機事故と変わりません。

この3台の空中姿勢を分けたのは「運」だと言わざるを得ません。

キャッチフェンスはスタンドの観客を守るもの
レースカーがコース外に飛び出さないようにするもので
残念ながらドライバーを守るという機能は与えられていません。
キャッチフェンスは最後の砦です。

しかし、次のレースからは前車に乗り上げにくいように工夫された
レースカーでレースが行われます。
前車に乗り上げなければキャッチフェンスには衝突せずにすみます。

我々も多くの観客もインディカーが
「安全にクラッシュさせる技術」を持っていることを知っています。


今回がいつもと違ったことは何だったのか。自論ですが
「高い平均速度」「スムーズな路面」「曲率のゆるいコース特性」
この三つが重なってしまったことです。
このために各レースカーの間隔は近すぎるものになってしまいました。

後者二つは変更できないので
時速224マイルを超えていた平均速度を
あと10マイルほど下げていれば、
最悪の結果は招かずにすんだと思います。

ケンタッキーは29台の出走があり
テキサスではいつも密集レースになります。
しかし、速度は時速215マイルほどです。
このたった10マイルほどの差が決定的な差を生んだのだと思います。
エラーへのマージンがいつも以上に小さくなってしまったのです。

レース前にドライバーや関係者からこの速度の高さを
問題視する声はありませんでしたが、
今後事故調査が進むにつれて、速度域の話が出てくると思います。

時速224マイル台は近年では
インディアナポリス以外では見ない数字です。
それほど速度域が尋常ではなかったと言うことです。
放送中にその件に触れるチャンスがありませんでしたが
今回はなぜ、インディカーが速度をコントロールしなかったのか
ずっと疑問に感じていました。