年を重ねて速さを魅せる佐藤琢磨選手

2019年07月07日


https://www.indycar.com/News/2019/07/07-03-BMartin-Takuma-Sato

年を重ねるごとに速さが光る佐藤琢磨選手。チームオーナーのボビー・レイホールは「まるで高級ワインか熟成された酒のようだ」と評しています。

42歳になる佐藤琢磨選手はインディカーシリーズにフル参戦するドライバーとしてはトニー・カナーンの44歳に次ぐ年齢です。

F1世界選手権参戦を経て、インディカーシリーズに転向してきた2010シーズン。その大胆なドライビングスタイルで速さを見せるもののしばしば強引な面も見せていました。

その結果、KVレーシングテクノロジーから参戦したルーキーシーズンでは開幕2レース連続クラッシュを含む17レース中9レースでクラッシュに終わっています。

琢磨選手の最初の2シーズンでの走りを見てきたボビー・レイホールはその才能を評価し、KVレーシングテクノロジーとの契約が切れた琢磨選手を自分のチームに招き入れます。

2012シーズンはインディ500でのあのファイナルラップを含む4レースでクラッシュしたものの、レイホールはドライビングスタイルのわずかな修正で、琢磨選手のその速さを発揮できると信じていました。

2013シーズン、レイホールは2台体制を整えられず、佐藤琢磨選手はインディカーレースカーで最もワイルドでタフなチームオーナーだと評されるAJフォイトレーシングに移籍。伝統のロングビーチGPでは日本人としてインディカーシリーズ初優勝し、AJフォイトレーシングに久しぶりの勝利をもたらしています。

琢磨選手がレースで結果を残すようになった要因はスピードアップではなく、スローダウンすることにあったとレイホールは分析。と言うのも、もともと十分な速さを見せていた琢磨選手にはさらに限界を超えようとする一面がありました。

アンドレッティオートスポーツに加入した2017シーズン、琢磨選手はその豊富な経験をもとに持ち前の速さを生かす術を身につけます。その結果、第101回インディ500ではその4勝目を狙うエリオ・カストロネベスを相手に見応えのある壮絶なつばぜり合いを見せた末に日本人として初めてインディ500を制しました。

2018シーズンはレイホールレターマンラニガンレーシングに復帰。17レース中3レースでクラッシュしたものの、ポートランドでは完璧な作戦を遂行して予選20位から優勝し、その速さと安定性を見せつけました。

2019シーズンはその速さと安定性にはさらに磨きがかかり、第3戦のアラバマGPではポールトゥィンではキャリア4勝目を挙げると、インディ500では3位フィニッシュし、シーズン折り返しを迎える時点でランキング4位につけていました。

第10戦ロードアメリカグランプリでは10位フィニッシュし、ランキングでは6位となっていますが、未だにチャンピオン争いには残っています。

レイホールは琢磨選手の今シーズンを「エンジニアのエディ・ジョーンズとの相性も良く、チーム全体の戦闘力も上がっている。レースカーも申し分なく仕上がっている」と評しています。

さらに「琢磨は常に全力で勝利を狙い、決して流して走るようなことはしない。もし、そのようなドライバーを支えるチーム側に何かしらの不足がある場合は、その結果は単なる無謀なトライに終わらせてしまうことになるだろう。しかし琢磨はすでに42歳で勝利のために必要なものはすでにそろっている。もはや無謀なトライをする必要は全くない。」と琢磨選手の速さを引き出すためのお膳立てはすべて整っていることをレイホールはコメントしています。

今年のインディ500では一時周回遅れになりながらも、レース終盤では優勝争いに絡んで3位フィニッシュしたことを高く評価し、「インディ500では最後まで冷静な走りで優勝を狙える位置まで追い上げて3位フィニッシュできた。その前のアラバマでは終始他を全く寄せ付けない走りで完勝した。インディカーデビュー当時のただ速いだけのドライバーではなく自分をコントロールする術も身につけている。」とコメントしています。

「去年のポートランドでの優勝を経て今年はさらに体制が強化されて優勝だけではなくチャンピオン争いができる体制が整ってきている。琢磨は限界を超えた走りをする必要はもはやないことが分かっている。シーズン残りの全てレースでTOP3フィニッシュできればチャンピオン獲得は間違いない。その体制はすでに整っている。」

「琢磨のその走りはみんなに愛され続けている。予選順位に関係なく彼は常に100%以上の走りを見せてくれるからだ。そんなドライバーは他にはいない。」と66歳のレイホールは琢磨選手の熟成振りに大いに満足しています。