大相撲中継に見る実況のスタイル

2013年09月22日



数々あるスポーツの実況スタイルとしては様式美というか定番中の定番ですが、実況の要素としては非常に複雑です。

呼び出しから仕切り時間いっぱいまでのゆったりとした流れでは解説者とのしゃべりや過去の対戦成績などのフリートークでつなぎ、時間いっぱいから立会い、勝ち名乗りまではきっちりと動きを実況してしっかりと決まり手をコールする。ワンパターンの連続ですが、かなりのメリハリです。

しかも、正面解説のほかに向正面解説、東西リポートと5人体制。そして、十両、幕下とそれぞれのクラスでの実況もラジオ実況もあります。

基本的に大相撲の実況を担当するアナウンサーは固定されているので、そういう部分では安定感、安心感は一部の若手を除いて抜群です。

ある意味ではお堅いイメージの大相撲担当のアナウンサーですが、そんな中で、抜きに出て型破りなのがベテランアナの一人の吉田賢アナウンサー。

解説へのネタフリや花道リポートも絶品です。「その話聞きたかった!」というネタが絶妙のタイミングで出てきます。あの大相撲中継を居酒屋にできるのは吉田アナウンサー唯一人しかいないでしょう。

ラジオ実況でも情景描写は絶品で、ただの居酒屋実況アナではありません。”あそび”の幅が少ない大相撲中継の中では最大限に振幅を振ってきます。

知り合いのベテラン先輩アナウンサー曰く、「吉田はしゃべりすぎなんだよ」ということなんですが、あのしゃべりはコアなファンだけではなくビギナーでも楽しめます。あれはアナウンサー技術ではなく”話術”ですね。

気持ちにゆとりがあると視野も広くなるのか”おっかなびっくり感”がみられる若手アナの実況と違って非常にスムーズに話が耳に入ってきます。最近は若手の台頭で吉田アナの正面実況回数がTVもラジオも減ってきているのが残念です。

しかし、いつの間にかに自分より年上の大相撲担当アナウンサーは4人だけになっていました。さすがに、これだけレースが空くとネタがなくなってきますね。