インディカーでのブルーフラッグ

2016年04月26日



7.2.5. Blue
7.2.5.1. An approaching Car is attempting to overtake
and the Car being signaled must give consideration
to the overtaking Driver.
7.2.5.2. At Road/Street Course Events, when
displayed from the starters stand to a lapped Car, as
ordered directly by INDYCAR, the blue flag is a
command to immediately give way. During the Race,
any Car failing to give way within one (1) lap of the
display of the blue flag from the starters stand will
be penalized.

上記がルールブックの記述。

後方からペースの速い車が接近を知らせ、その知らせを受けたドライバーは後ろに配慮せよというのがブルーフラッグルールの基本です。

そして、ロードストリートレースではレースコントロールからの指示を受けて、”スターターズスタンド”から周回遅れに対してブルーフラッグが掲示される場合は「直ちに進路を譲れ」ということを意味する。とルールブックにあります。

さらに、スターターズスタンドからブルーフラッグが掲示されたレースカーが1周以内に進路を譲らなかった場合はペナルティが課せられる。となっています。

つまり、「スターターズスタンド(=コントロールラインわきにあるフラッグスタンド)」からブルーフラッグが掲示された場合のみ進路を譲る”義務”が発生することになります。それ以外のフラッグポストでのブルーフラッグの掲示は”進路を譲るべきかどうか”配慮しなさい”ということになります。

デイリーもその時は10秒台とそこそこのペースで走っていて圧倒的に遅いという状況ではありませんでした。パジェノーも「ルール通りだから問題ない。自分もあの(デイリーの)とおなじ状況になったことがあるがイエローが出れば周回遅れにならずに済む。安易にポジションを譲るようなことはしない。」とレース後に記者会見で語っています。

パジェノーもあの時点では最後のピットストップ前で燃費走行を強いられていたので、デイリーを利用して燃費を稼いでいた節はあります。

仕事に追われたレーススチュワード

2016年04月26日



2週連続でのレース開催でしたが、レースコントロールスタッフも大忙しでした。

サッカーやフットボールでのレフェリーや野球でのアンパイヤーのようにインディカーのレースコントロールルームにいた3人のレーススチュワードは決して感謝されることがない作業に忙殺されていました。

アラバマグランプリも佳境に差し迫った残り9周のところで、レースをリードしていたSパジェノーとそれを追いかけるGレイホールが接触しましたが、レーススチュワードは重大な決断を迫られました。

結果的にペナルティはありませんでしたが、いかなる結果にせよ、言い分が異なる両者を納得させる裁定を下すことは不可能です。

今回の裁定に対してのSパジェノーの言い分は、
「向こうが無理に突っ込んできた。あそこは抜けるコーナーじゃない。レースには勝ったのでこれ以上の言及は避けるが、本当に頭にくる。あとで彼を抜き返したがアレが正しいやり方だ。」

一方でGレイホールは違った見方をしています。
「彼がブロックしてきた。明らかに寄せてきている。あれは完全なレーシングアクシデント。その後に彼が仕掛けてきたときにこっちは十分なスペースを空けておいた。やろうと思えばブロックして抑えることもできたがそれはしなかった。」

それぞれの言い分はありますが、NBCSNで解説を務め、現役インディカードライバー時代には数々の罰金裁定を食らってきたポール・トレイシーは今回のレーススチュワードの裁定を支持しています。
「オンボード映像を見る限りではパジェノーはブロックをしていた。一度寄せてからもう一度寄せていた。レイホールはパジェノーのインサイドに入ったのにパジェノーは寄せてきていた。これは完全にレーシングインシデントだ」とコメントしています。

レースコントロールが出したこの結果に対してCキンボールのファンは疑問の声を上げるかもしれない。キンボールは9周目にJヒンチクリフをブロックしたとして順位をヒンチクリフに順位を譲るように言い渡されています。

レースコントロールの裁定をなじる声が出るのはいつものことですが、ラスト5周でパジェノーがレイホールを抜き返す時にホークスワースに接触してフロントウイングの破片が飛び散ってコース上に落ちましたが最後までバトルをさせるためにフルコースイエローは出しませんでした。

もしフルコースイエローとした場合は後続が一気に追いついて、フロントウイングを大きく破損してたレイホールは窮地に立たされていたでしょう。

1週間前のロングビーチグランプリでSパジェノーはレース終盤でのSディクソンとのトップ争いてピットレーン出口の線を4輪で踏んで通過した件で渦中の人物でした。最終的にはドライブスルーペナルティとはならずに警告で済んだことに対して疑問を呈する声が数多く上がりました。

その時にパジェノー以外にも同様に多くのドライバーが4輪でイエローラインを踏んでピットアウトし、一切ペナルティがていなかったことを指摘する声はレースコントロール以外にはありませでした。結果的に激しいトップ争いは水を差されることなく最後まで続いたわけです。

その後、ソーシャルメディアなどでパジェノーだけが4輪でラインを踏んでわけではなかった事実が広まり、パジェノーだけを罰することはフェアではないとの声が広まりました。レーススチュワードの判断は妥当だっということです。

Sディクソンはその時点で裁定に不服でもドライバーは受け入れなければならないと語っています。
「先週の事はもう済んだこと。とにかくドライバーとしてはどのようなルールだったのかはっきりさせたかっただけだ。ルール上問題ないならば問題はない。ルール的に違反ならばペナルティを科すべきだ。」


基本的にレースコントロールの仕事は批判にはさらされやすいが、褒められることはほとんどないということです。

我々も「他のレースではこうだから・・・・」などという概念に惑わされて「これはダメでしょう・・・・」などと安易に考えずに実況しなけばなりませんね。インディカーのルールをしっかりと理解したうえでレース実況しなければと自戒します。あと意外にレース関係者ってルールを完全に把握していないもんなんですよね。国内外問わず。その証拠にルール解釈などでよくモメているのを見ます。

ということで、インディカールールブックの勉強会を開催しますよ!!
コメンタリー陣は生放送開始時間の6時間前に集合し、私がルールブックの内容を1ページずつレクチャーします。覚悟しといてください!!!!!

ああ、6時間じゃあ全然足らないな。
松浦君、遅刻したらレース終了後に居残りだぞ!!。

インディカーの公式ルールブックはこちらで見ることができます。
http://d1b8ufspcmikd1.cloudfront.net/~/media/Files/2016/IndyCarSeries/Rulebook/2016_Rulebook_FULL.pdf?la=en&vs=1&d=20160115T165610
※シーズン途中のルール追加変更には対応していません