思い切ってダウンフォースを削減してみれば③

2016年08月18日



JRヒルデブランドがインディカーでのダウンフォース(DF)に関する興味深い記事(3部作)を寄稿して以下のように考察しています。その第3回です。
http://www.indycar.com/News/2016/08/08-16-Voices-Hildebrand-downforce-3
要約すると以下の通りです。

■現行レギュレーションではDFの許容範囲は広い
スーパースピードウェイ(SSW)レギュレーションでのDFは1300ポンド(590㎏)を下回ることはなく、最大では3000ポンド(1360㎏)もあって、レースカーのチューニングツールとしてDFへの依存度は大きい。

■今年のインディ500でのDFレベル
2000ポンド(907㎏)~2300ポンド(1043㎏)と例年に比べて若干増えている。これは飛び上がり防止のためにドーム型スキッドプレートを車体下に装着したことで重心が高くなり、その分失うダウンフォースを取り戻したための結果。

■インディ500でのDF許容範囲
実際には各チームは2250ポンド(1021㎏)から2150ポンド(975㎏)の範囲で調整をしているが、これくらいの差でも効果は大きくレースの行方に大きな影響を与える。

■DFとメカニカルグリップ

トラフィック内でのハンドリングバランスの良し悪しはメカニカルグリップによるところが大きいが、レースで1スティントを通じてハンドリングバランス変化が大きい場合はダウンフォースを増やして対応する必要がある。しかし直線スピードは落ちる。十分なメカニカルグリップが得られている場合はDFレベルを減らすことができる。その場合は直線スピードがより伸びる。

■ドラッグとDF
トラフィックで速いレースカーは単独走行では遅くなり、単独走行で速いレースカーはトラフィックでは遅くなる傾向がある。決勝レースでは自分のレースカーのこの特性を見極めて、長いレースでどのようなバランスにする必要があるかをしっかりと見極める必要がある。

■予選でのDFレベル
2000ポンド(907㎏)~2300ポンド(1043㎏)の範囲内で、4周の予選アテンプトの中でタイヤのデグラデーション(消耗)が最小限になるレベルまでDFを削るのがセオリー。予選の速度レベル(ギアレシオ)では一度アクセルを戻すと速度回復には時間がかかりすぎるために極力アクセルを緩めないのが理想で、最小限のDFでレースカーが横滑りし始める中で予選ランが強いられる。

■もしDFをさらに減らしたら

1600ポンド(726㎏)~1200ポンド(544㎏)にDFを設定した場合、データから計算値では226-227 mphから231-232mphへアップする。

■ショートオーバルとの比較

SSWでのDF削減はショートオーバルでのそれ以上の効果をもたらす。SSWではコーナーリング速度が高いためにDF(=ドラッグ)の削減はストレートでの最高速度により大きな影響を及ぼす。インディ500ではこの効果は計り知れない。

■馬力とスピード
DFを削減した場合は馬力を上げてもスピードアップには直接つながらない。多くのレーストラックではコーナーリングで減速が必要になるため、1200ポンド(544㎏)のDFで232mphを記録するには理論上1200馬力が必要になる。

■まとめ
DFへの依存度が低かった70年代までの現在のレーススタイルは明らかに違う。この25年間は1周全開で走ることができ、レース残り20周くらいまで25台ほどのレースカーがドラフティング合戦を繰り広げ、最終ラップまで数人のドライバーが優勝争いを繰り広げている。どのようなレーススタイルが望まれているのか、そうすればレースがより面白くなるのか、今回の私(JRヒルデブランド)の考察を踏まえつつ今後の行方に注目したい。