変見自在?偏見自在②

2018年01月01日

2017年は佐藤琢磨選手がインディ500を制するという歴史的な年になった。

ラスト11周からのイエローに邪魔されないガチンコ勝負。それも相手は過去3回インディ500を制している”最強チームで最も経験を積んでいる最強ドライバー”だった。

特にラスト5周は手に汗握る壮絶かつクリーンのなバトルで、スピードウェイの30万人の観客は総立ちになって、レースカーの爆音をかき消さんばかりの声援を送った。その大歓声は中継映像の音声からも伝わってきた。

その日本人ドライバーの優勝を誰もが祝福した。2012年の出来事を観客の誰もが覚えていた。フィニッシュ後にはこれまでに見たことないほど多くのドライバーが琢磨選手に並走してその勝利を祝福した。そのシーンを見ていてすがすがしい気持ちになった。

翌日の新聞はスポーツ新聞は言うに及ばず、各全国紙も一面にカラー写真で報じた。かつてルマン24時間レースで関谷正徳選手が総合優勝した時ですらここまでの報道はなかった。

TVでも夜7時の全国ニュースが報じたほか、その翌々日のお昼の全国ニュースでは優勝の喜びを語る琢磨選手のインタビューも流れた。

優勝の瞬間を伝える日本語実況もレース翌朝にアメリカ全国で報道された。

この偉業と反響に、インディカーは粋な計らいをして、インディ500後の連戦が終わったわずかなスケジュールに琢磨選手の凱旋ツアーを組み込んだ。

成田空港での凱旋記者会見からホンダ本社での優勝報告会、ファンイベントとスケジュールは目いっぱいで。「クローズアップ現代」も時事的な話題として急きょ琢磨選手の優勝を特集したほどだった。

インディカーの粋な計らいはそれにとどまらず、門外不出だった優勝トロフィーを初めて優勝ドライバーの母国に凱旋させた。101回の歴史の中でもここまでの破格の待遇はかつて見たことがなかった。

以前に「日本人は農耕民族なのでレースで世界の頂点には立てない」といった意味の文章を読んだことがある。

書き手の分析力や評価はともかく、それは事実ではなかったことは佐藤琢磨選手によって証明された。

誰よりも学ぶべき立場にあるのは佐藤琢磨選手本人ではないはずだと思った。