インディアナポリスGP レビュー

2020年07月06日



【どっちのタイヤでスタート?】
スタート時点で上位10台でハードタイヤを選択したのは7位のディクソンと9位のローゼンクイストだけでした。2ストップを予定していたレイホールはソフトタイヤスタート。同じく2ストップ予定だった琢磨選手はハードタイヤでのスタートとチーム内で分けてきました。おそらく、ロングディスタンスでのそれぞれのデグラデーション(劣化具合)が未知数だったので分けたのかと思われます。ハードタイヤスタートを選択したディクソンはソフトタイヤでのロングランに自信があったのでしょう。

【作戦が見事にハマったディクソン】
ハードタイヤでスタートして1周目にワンポジションアップの6位へ。6位キープのままで10周目にピットイン。あとはソフトタイヤでつなぐ作戦に。33周終了34周目に2回目のピットイン。その2周後にフルコースイエローとなって上位スターターたちはピットインしてディクソンは3ストップ組の先頭になりました。その後も2ストップでのロングランでハードタイヤだったレイホールを楽々パスして、20秒差をつけてレースを制しました。

攻めの作戦が良かったのに加えて、フルコースイエローのタイミングは運に助けられたと、すべての流れを味方にしての開幕2連勝でした。

【20位から3位フィニッシュのパジェノー】
作戦的にはディクソンとほぼ同じで、先にハードタイヤを使って早めにソフトタイヤに交換し、2回目のストップの後のフルコースイエローで8位へ大きくジャンプアップ。予選Q1落ちだったので2セット残った新品ソフトタイヤの1セットを最後のスティントに投入。ここでさらにポジションを3位まで上げてそのまま表彰台に乗りました。ハータとビーケイも同じ流れでしたがパジェノーの方が1枚上手でした。

【作戦を外したパワーとニューガーデン】
せっかくの1-2体勢が2回目のピットストップの前にフルコースイエローが出てしまってリスタートの時には前に8台も入られる結果に。落としたポジションをリスタートで取り戻すべくハードタイヤは後回しにされましたが、ここでハードタイヤにしてショートスティントにするなどのギャンブルをすれば、ラストピットを早めにして、2回目のフルコースイエロー発生頼みで再逆転のチャンスも残されていました。パジェノーがハードタイヤスタートだったのでフィードバックもとれたはずです。

【トラブル続きながらも10位フィニッシュの琢磨選手】
予選ではソフトタイヤがアウトラップで温まり切らずにQ1敗退。決勝レースではスタートからリアのアンチロールバーが外れて左右のサスペンションの動きがバラバラになってしまい、最後尾まで後退。アンチロールバーはレース中のピットでは修理できないのでフロントウイング合計7ターンも立てることによって前後バランスをなんとか合わせてペースアップしていきました。最後尾からの10位フィニッシュは最大限のゲインだったと言えるでしょう。

【パロウのストレス】
レース終盤にはアボイダブルコンタクトで2回もポジションを譲る羽目になっています。
55 Avoidable Contact 69 Yield Position
55 Avoidable Contact 73 Yield Position

今回は2時間25分の生放送でした。
これって史上最短記録かな?

なんで予選でレッドタイヤが温まらないのか?

2020年07月05日



上の図はインディアナポリスモータースピードウェイのコースレイアウトと計測ラインです。

インディカーではプラクティスと予選セッションではコントロールラインがピットレーン入口のすぐの手前に仮設されます。タイム計測が終わったレースカーがすぐにピットインできるようにするためです。こうすればクルーダウンラップ中のレースカーが計測中のレースカーを邪魔することがありません。

今回は仮設のコントロールラインはターン11にあるAlt S/Fになります。

ということで、ニュータイヤでピットアウトしたレースカーはたった半周で計測開始ということになります。

今回はソフトタイヤのパフォーマンス低下を懸念して各チームは予選では1ラップアタックを狙ってきました。なので、たった半周でニュータイヤを温め切らなければなりませんが、実際にはかなり困難だったようです。

インディカーレース観戦講座⑥ 最終回

2020年06月30日

これで最終回になります。
スカパー ! [公式] YouTubeにてご覧いただけます。
F1やスーパーGTは見るけど、インディカーレースはちゃんと見たことがないという方にお勧めです!

第⑥回は、オーバルレースでのハンドリングバランスのセッティングとアジャスト方法について解説します。シンプルに見えるオーバルレースですが、超高速でバトルをするためにドライバーレース中ずっとレースカーをアジャストし続けています。

インディカーiRacingチャレンジ最終戦を振り返る

2020年05月07日


リモート解説の武藤さんは豊富なスナック類に囲まれての出演。

初公開の佐藤琢磨選手のコクピット。FANATECのDD2に3面スクリーンという最上級の組み合わせにドライビングポジションにこだわりぬいたシートチョイス。


ラップリードもあったカラムはピットロードでスピン!スタッガーがついていて無条件で左ターンしようとするインディカーではよく見る光景です。結局カラムはマルチカーアクシデントに巻き込まれて今季5度目の飛翔となりました。


ターン2でスリーワイド。パジェノー、レイホール、ノリス。ノリスはフレッシュタイヤで自由に動けましたが、無謀で不用意な動きでした。英国から参戦のノリスは遅延速度が大きくてレイホールとは80㎝くらいの誤差で接触判定となりレイホールがバランスを崩したようです。


上の接触でレースカーを壊したパジェノーはピットインしてファストリペアで修復してコースに復帰。しかしレース速度までは回復せず、後方からリードパックが迫ったのでドライブスルーしようとしたところにノリスが追突。パジェノーはあらかじめピットインコマンドボタンを押して全車にピットインを知らせていた上に通常のラインで通常スローダウンでピットインしています。下の写真ではパジェノーはすでにグルーブ(タイヤの跡の黒いライン)を外れてピットロードに向かっています。なぜかそこにノリスが追突しています。2位3位にいたアスキューとオワードはノリスについていかずにしっかりと間隔をあけてクラッシュを避けています。


アクションの多かったファイナルラップ。エリクソンはオワードに追突されて優勝を逃しました。最後はアスキューとフェルッチの一騎打ちでしたが、なぜかフェルッチが急に進路を変えてアスキューに接触。フェルッチはアスキューよりもその時点で時速5㎞も速かったので、そのまままっすぐ走れば優勝できていたかと思います。全く意味不明の動きに見えました。


どうもフェルッチのレース後の記者会見のコメント聴いたところでは、最後はレースを盛り上げようとNASCARのようなつばぜり合いでフィニッシュしようとしたところ接触判定食らって想定外の動きになってしまいコントロールを失ったようです。

優勝はリアルインディカーレース未経験のスコット・マクロクリン。今シーズンはペンスキーからインディGPの参戦だけが発表されていますが、インディ500のリアル参戦も期待したいところです。


超ハイスピードのインディアナポリスゆえにわずかな信号遅延が接触を引き起こす結果になりましたが、琢磨選手もその状況に見舞われた一人でレース序盤でコルトン・ハータと接触判定となってしまいクラッシュしてアンダーグリーンでピットイン。周回遅れとなってしまいました。
「完全に不完全燃焼だった・・・・」という悔しいコメントに。


開幕戦の中止発表からわずか2週間後からこのiRacingチャレンジが始まりましたが、短い準備期間でここまでイベントを盛り上げられたことは非常に大きな意義があったかと思います。新型コロナ禍で大変な状況でしたが、この1か月半の間にレースファンにエンタテイメントを提供することができたと思います。

ヨコハマグッドファクトリー(YGF)さんもご協力ありがとうございました。


すでに現地月曜日から各チームはファクトリーでの準備作業開始を許可されています。このまま6月シーズン開幕を待ちたいところです。

【レースリポート】インディカーiRacingチャレンジ第3戦、パジェノーが作戦勝ち

2020年04月12日



第3戦最終順位
http://www.imscdn.com/indycar_media/documents/2020-04-11/indycar-boxscore.pdf

インディカーiRacingチャレンジ第3戦、2マイルオーバルで行われたミシガンの275は予選22位だったペンスキーのシモン・パジェノーがチーム総力で頭脳戦を戦いレースを制しました。

2位には予選4位のスコット・マクロクリンが入ってチーム・ペンスキーの1-2フィニッシュとなっています。

3位は今回は招待参加でインディカーレースデビューとなったNASCARドライバーのデイル・アーンハートJr.となっています。

今回のレースは85周でフュエルウインドウは約37周。通常は2ストップレース。しかし、レーススタート直前に予選8位のオリバー・アスキューがジャンプスタート気味の加速で前を走るローゼンクイストに接触。10台近くを巻き込むアクシデントでいきなりイエロー。

コーションラップは5周にも及び、22番グリッドと後方スタートだったパジェノーはアクシデントを潜り抜けて13位にポジションアップ。このコーション中にトップオフ(燃料満タンにし直し)して、レース残りを燃費走行での1ストップで走り切る作戦に切り替えました。
この最初のコーションでステイアウトしたトップ勢は2ストップが必要です。

パジェノーは燃費走行を続けてステイアウトし続けて45周目にはレースリーダーに。残り40周となったところでラストピットを行い、7秒遅れ10位でピットアウト。

ノーピットで燃費走行に徹したパジェノーの前は残り4周までに全車がピットインして、パジェノーは2位のマクロクリンに10秒以上のリード。

最終的に13秒もの差をキープしてパジェノーがインディカーiRacingチャレンジ初優勝となりました。2位のマクロクリンと3位のデイルJr.もパジェノーと同じ作戦でした。

リードチェンジは18回。そのうちの8回はセイジ・カラムとウィル・パワーによるもので、パワーは16秒遅れで4位フィニッシュし、これまでの4レース全てで4位以上でフィニッシュしています。

チームペンスキーは1台につきエンジニアの他にスポッター数人が参加し、1周ごとに表示される燃費(MPG)をもとにリアルタイムで燃費を計算して作戦やペースを設定しています。個人参戦のパロウやカイザーはパジェノーと同じ作戦をとりながらも燃費が最後まで持ちませんでした。

次回のインディカーiRacingチャレンジは4月18日開催で、開催レーストラックは無作為抽選で決められることになっています。

4月18日 “Random Draw” track (無作為で抽出)
4月25日 Circuit of The Americas
5月 2日  non-INDYCAR “Dream” track (インディカーレース未開催地)